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「もう一度!お願いします!」 頭上の装置を動かし今度は他方向からの血管造影を行う。 その時、 「…見つけた…!」 先生がぼそりとマスクの下でくぐもった声を出した。 心臓をとりまくその冠動脈血管の狭窄部は私にもはっきりわかるほどのものだった。 モノクロの心臓レントゲン画像に造影剤によってくっきり黒く浮かび上がり枝分かれした冠動脈の一つ。…その血管は狭窄しておりその先は流れが途絶えている。 「早く流れを作らないと壊死してしまう! 夏妃!ステント!」 ※ステントとは流れを塞いでいる血管に拡張することができる網目状の金属の筒のこと
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