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狭窄の状態が思いの外ひどく、先生の目が焦りに変わった。 ステントを入れ込むと先生のかおの方に軽く血がとんだ。 あ!と思い処置を手伝いながら空中に飛んだ小さな赤を目で追った。 あ…瞬きもしない… 跳び跳ねた小さな赤は先生の目のすぐ下に飛んだ。 しかし先生は瞬きもせず手元を凝視したままだった。 その時… 私の体を何かが貫いた気がした。 先生の気迫? 先生の雰囲気? 違う。 もっともっと大きな… そう…これは先生の思いだ。 …医師としての…思い…
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