37/52
前へ
/314ページ
次へ
――あの日 沙和さんが倒れ病院へと運ばれてきた。 救急隊員の話では沙和さんの倒れた自宅に到着したときにはすでに沙和さんの心肺は停止していたという。 沙和さんは約1ヶ月前から自身の体の不調に気がついていたらしい… …だからあの日の1週間前に鳴海医師のところへ診察に行ったのだ… しかし、血液検査も心電図もレントゲンもすべて異常はなかった。 それについては大学側からカルテと同時に開示があった。 残された遺族の気持ちは疑問の塊だろう… 1週間前に診察を受けているのに何故? 死ぬような重病ならば入院させればよかったではないか? もしかしたら鳴海先生の誤診だったのではないか? 考え始めればきりがない… 突然死ならばこう考えるのは不自然なことではない。 …と静かに院長は言った。
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

880人が本棚に入れています
本棚に追加