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「浅はかなお前の考えなんかお見通しだ! 刑事事件にされたくなかったら今すぐ荷物をまとめて出ていけ! 今すぐだ!」 院長の大声が部屋に響き、私は怖くて思わず肩をすくめた。 すると、すくめた私の肩に後ろからそっとのせられる手… 「!」 驚いて振り向くと鳴海先生が「大丈夫だ」と言う顔で小さく頷いた。 「…ああ、そういえば君が数年前に卒業した看護学校から実家の連絡先を聞いたよ。 さっき電話でご両親にご挨拶させていただいたよ。 今夜家に迎えに来るそうだよ。 良かったじゃないか。 さあ急いで帰ったほうがいい。」 実家という言葉に急に京奈の顔が焦りに変わった。 そして、 「チッ」 と大きな舌打ちをすると顔をひきつらせ心カテ室から走って出て行ってしまった。
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