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――帰りが遅くなったその夜、
眠りについた私は不思議な夢を見た。
大きな木の下で1人の少女が座っている。
こぼれそうなほどの幸せに満ちた笑顔…
…知らないはずのその少女は…
沙和さん…
会ったこともなく顔も知らないけれど、夢の中の私は何故か「沙和さん」だとわかってるんだ…
微笑んでいる沙和さんの手には数本のきれいな花。
あ、沙和さん…何か言ってる…
沙和さんが私に向かって口をパクパク動かしているのがわかる。
「え?なぁに?」
その瞬間、
ふわり、と沙和さんが消えた。
「!」
手に持っていた花だけが
ふわりふわりと
宙を舞いゆっくり地面に落ちた。
「沙和…さん…」
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