「転校生」

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「はぁ!? もしかしてお前、それを確かめる為に俺の手掴んだの!?」 天野はふふんと鼻を鳴らして、自慢気に「そうだよ!」と言った。 馬鹿だ……最初の自己紹介から思ってたけどこいつ、本物の馬鹿だ……。 僕がため息を吐くと、目の前の馬鹿は顔をしかめていた。 「なによ。うれしくないの? 手袋さえあればみんなと友達になれるってわかったじゃない。何か不満でもあるの?」 「大有りだよ馬鹿。そもそも僕は既に嫌われてるんだぞ? 昨日なんて話しかけただけで舌打ちされた。そんな状況でどうやって友達作るんだよ」 天野は手を顎に当てて、考える仕草をした。 そしてぽんと手を叩いて、僕に言った。 「じゃあ、一回記憶、消しちゃおう!」 「…………」 僕は無言で、害がないとわかった右手で天野の頭を叩いた。 「いたっ!!?? 何するのよ馬鹿!」 「馬鹿はお前だ馬鹿! 何をどう考えたらそういう結論になるんだ!」 「だって~………」 天野は、叱られた後の子供のように涙目で、僕に言った。 「この状態じゃ君は誰とも友達にならないんでしょ? そして皆は君のことが嫌い。だったら、一回リセットした方がいいじゃない」 僕はまた天野の頭を叩く。 「だから痛いってば! ……見かけによらず、力強いよ君」 「いいか? 俺が今まで誰とも接して来なかったのは、記憶を消すという行為自体が嫌いだからだ。つまりその案は……絶対に却下!」 軽く怒気を含ませて言うと、天野は少し体を震わせて黙り混んだ。 嫌な雰囲気が僕たちの間に流れる。
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