「転校生」

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.。o○.。o○.。o○ 「白須、このアンケート集めて来てもらえるか? 係りの奴が休みでな」 「えっ……僕ですか?」 「放課後まででいいから。じゃあ頼んだぞ」 中年の男性教諭はそう告げて教室から出ていった。 そして周りから聞こえる声。 (また雑用やってるよ) (内申稼ぎもあそこまでいくと気持ち悪いな) (それになんだよあの手袋……中二病かよ) 僕からやると言った訳でもないのに、誹謗中傷が飛んでくる。 中学の時から、だいたいこんな感じだ。 周囲から浮いている奴は格好の陰口の的になり、笑いの種となる。 高校生に入った今でも、それは変わらない。 僕も友達を作れば何か変わるかも知れないが、僕の体質的にそれはNGだ。 一応両手に手袋をはめてはいるものの、これが有効なのかは試していないから分からないし、もし効果があるとしても、その手袋が更に人を遠ざけている。 (……僕の人生、完全に詰んでるな) そう思ったのは、今日で何度目だっただろうか。数え切れないほど考えてきた。 不可能だと。 お前は一生このままなのだと。 この手があるかぎり、僕は誰とも触れあえないし、仲良くもなれない。 きっと神様は僕のことが嫌いなんだ。 馬鹿みたいだけれど、そんなことを考えるときばかり、僕は神様の存在を強く感じるのだ。
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