「転校生」

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「今日は転校生を紹介する」 次の日、教室に入ってきた先生が、唐突にそう告げた。 途端にクラス中がざわざわと騒がしくなる。 僕は、入学して3ヶ月ほどしか経っていないのに、転校生? と疑問に感じたが、親の都合などいろいろあるのだろと結論付けて気にするのをやめた。 「じゃあ天野さん。入って」 先生が呼び、転校生が入ってくる。 即座に反応を示したのは男子だった。 理由は単純で、それが女子だったからである。 雪のように白い肌を緊張からか赤く染め、照れたような笑みを浮かべている彼女は、先生に促されて自己紹介を始めた。 「初めまして、天野 ひよこです! 東北の田舎に住んでいました。都会はあまり慣れていないので、皆さんにはこれからたくさんご迷惑をお掛けすると思いますが、どうかよろしくお願いします!!」 彼女──天野はそう言って腰が90度になるぐらいお辞儀をした。 全員からの拍手が送られる。 僕は元気な子だなぁと、少々面食らっていた。 その時はまだ、彼女があんなことをするなんて知るよしもなかったんだ……。 天野はまた恥ずかしそうに笑うと、「そうだ!」と何かを思い出したように持っていたバッグの中を漁り始めた。 皆が怪訝に見守るなか、天野は何かを見つけ、取り出した。 それはやけに大きなビニール袋だった。 それも中々の量が入っているのか、所々色が薄くなったりして今にも破けそうだ。
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