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「白須くん、だっけ?」
人の波が引くと、天野が僕に話しかけてきた。
「君、何であんなに嫌われてるの?」
……雰囲気から、大体の想像はついている。
恐らくさっきの女子生徒は、隣が僕であることを快く思っていないのだろう。
だから別れ様に、周りに聞こえないように耳打ちをした。
”隣の奴とは話さない方がいい”みたいなことをね。
「……何て言われたの?」
僕が聞くと、天野は少し考えた後、言いずらそうに口を開いた。
「『隣にいる男はネクラのキモ男だから話しかけちゃだめよ』って」
想像以上に悪く言われていた!
いや……普段の僕を見れば、あながち間違いでもないのだけれど……。何か納得いかない自分がいる。
「君、何かやったの? 女子更衣室を覗いたとか?」
「そんなことしてないよ! 人聞きの悪い!」
天野は「そうなの?」と首を傾げていた。
「だとしたら、私には君が嫌われている理由が分からないんだけど」
「あのね、人が嫌われる理由が女子更衣室を覗く以外に思い浮かばないって結構ヤバいと思うよ」
すると天野は、さも当たり前のように、
「だって君、いい人でしょう?」
と言った。
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