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七海さんが、家のことを率先してやってくれている。
朝起きたら洗濯物が干してあった。
いや、真面目に助かる(笑)
学校から帰ると飯が作ってある(笑)
一般的に高校生は家に帰ると飯があるのだろうけど、我が家にしてみたら、何?どうしちゃった?(笑)なのである。
だから姉に言う。
「どうした?(笑)」
テレビを見ながらポテロングを食べている。ソファーの背もたれに左腕をかけてこちらを見る。
食べていたポテトをタバコのように指で挟み耳の横に置き答える。
「自分のご飯作るのに、あんたの作らない理由が無いじゃん?」
にやつきながら、さぁ何て言う?って表情で僕を見る。
今日は素直に照れてやろうか?(笑)
「そうなんだ。それでも嬉しいな」
さぁ、どう出る?(笑)
「きょ、今日は気持ち暖かかったよね…」
最近、この手のやりとりは全勝ですわ(笑)
鮨ネタの書かれたmy湯飲みにお茶を入れ僕の向かえに座る。
イカリングとオニオンリング、見た目で区別がつきにくいこやつら、別けて盛り付ければいいのにわざと混ぜてある。
「さて、どっちが玉ねぎかわかる?(笑)」
そう言い、フライをつまみ食いする。
「ところであんた、来年は正念場だよね」
「まあね」
「けどさ、あんたは、まあまあがむしゃらにやればいいだけだから楽だよね」
お茶をすすり、若干上目遣いで僕を見る。二次攻撃が始まる。
「楽ではないけどな…」
「そう?」
「うん」
「じっと待つ咲よりか、だいぶ楽なんじゃない?がむしゃらで行けるあんたは」
思わず箸が止まってしまう。
「まぁ、頑張りなよ(笑)」
勝利を確信した姉が立ち上がる。
「そんな待つ覚悟を持って、その上で1年頑張ってきたんだ。凄いよな咲は(笑)」
湯飲みを流しに置き、離れへと消えていった。
完敗やね。
寂しいなんて考えていた自分が少し恥ずかしくなる。
姉なりのyellなんだと有り難く受け取ろう。
僕が帰ってくる時間にあそこにいたのも、後から考えると不自然なんだな。
あの野郎(笑)
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