719人が本棚に入れています
本棚に追加
咲音さんの合格発表の前日だっただろうか。
繁華街の大通りから二、三本入った、飲み屋が軒を連ねる通りを僕たちは歩いていた。
横にいたはずの咲音さんがいないことに気付く。後ろを振り返ると、開店前の怪しげな店の前で何かを見ていた。
立ち止まり様子を伺っていると、大きなジェスチャーで僕を呼ぶ。距離にして30メートル程。
反応しないでいると、膨れっ面をさげてこちらにやって来る。
咲「何で来ない?」
ね「…………」
黙っていると腕を掴んで引っ張っていこうとする。
ね「わかったよ(笑)」
僕はそこが何の店だか知っているから、だからわざと無反応でいたんだ。
咲「これ、やってご (やってごらん)」
ね「やだ」
咲「何でよ?面白そうじゃん」
ね「自分でやれば?」
咲「いたいけな女子高生にさせる気?」
ね「……(笑)」
店の前にガチャガチャが置かれている。
ね「じゃあさ、何が出てきても使えよ」
咲「……お、おう(笑)」
ね「じゃ、やってやる」
ガチャガチャ本体の回りには紙が貼られ中は見えない。
そして手書きのマジックで、
「紳士淑女の熱い夜『エロがちゃ』500円」と書いてある。
エロがちゃですぜ、お客さん(笑)
500円玉を挿入し、ハンドルを回す。出てきたものを咲に渡す。
咲「いい?開けちゃうよ(笑)」
ね「どうぞ(笑)」
咲「何だろ?これ」
中からベルベットのような生地の細長い布が出てきた。
咲「何か説明書が入っているよ」
ね「whisper eye だってさ」
咲「何それ?」
説明書の裏にイラストが書かれていた。シルクハットを被り、ステッキを持った男。それから目隠しをされた下着姿の女……
……紳士淑女ね(笑)
ね「目隠しらしいよ」
咲「え~、つまんない」
ね「満足したろ?さ、行こ」
咲「いや、もう1回(笑)」
言うと思った(笑)
最初のコメントを投稿しよう!