ep.6

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咲音さんの合格発表の前日だっただろうか。 繁華街の大通りから二、三本入った、飲み屋が軒を連ねる通りを僕たちは歩いていた。 横にいたはずの咲音さんがいないことに気付く。後ろを振り返ると、開店前の怪しげな店の前で何かを見ていた。 立ち止まり様子を伺っていると、大きなジェスチャーで僕を呼ぶ。距離にして30メートル程。 反応しないでいると、膨れっ面をさげてこちらにやって来る。 咲「何で来ない?」 ね「…………」 黙っていると腕を掴んで引っ張っていこうとする。 ね「わかったよ(笑)」 僕はそこが何の店だか知っているから、だからわざと無反応でいたんだ。 咲「これ、やってご (やってごらん)」 ね「やだ」 咲「何でよ?面白そうじゃん」 ね「自分でやれば?」 咲「いたいけな女子高生にさせる気?」 ね「……(笑)」 店の前にガチャガチャが置かれている。 ね「じゃあさ、何が出てきても使えよ」 咲「……お、おう(笑)」 ね「じゃ、やってやる」 ガチャガチャ本体の回りには紙が貼られ中は見えない。 そして手書きのマジックで、 「紳士淑女の熱い夜『エロがちゃ』500円」と書いてある。 エロがちゃですぜ、お客さん(笑) 500円玉を挿入し、ハンドルを回す。出てきたものを咲に渡す。 咲「いい?開けちゃうよ(笑)」 ね「どうぞ(笑)」 咲「何だろ?これ」 中からベルベットのような生地の細長い布が出てきた。 咲「何か説明書が入っているよ」 ね「whisper eye だってさ」 咲「何それ?」 説明書の裏にイラストが書かれていた。シルクハットを被り、ステッキを持った男。それから目隠しをされた下着姿の女…… ……紳士淑女ね(笑) ね「目隠しらしいよ」 咲「え~、つまんない」 ね「満足したろ?さ、行こ」 咲「いや、もう1回(笑)」 言うと思った(笑)
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