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咲「お金出すから、もう1回回して」
ね「勿体ないから止めとけよ」
咲「こんなに体に力入ったのに、目隠しじゃ引き下がれない(笑)」
ね「(笑)」
仕方なくもう一度。そして咲に渡す。
咲「whisper ソープって書いてある……」
また、ウィスパーかよ?(笑)
ね「魅惑の泡立ちだってさ(笑)」
咲「石鹸って……500円も出してるんだから、もっとエレクトリックな物は出ないわけ?」
ね「大体さ、入れ物がこの大きさなんだからさ(笑)」
咲「…………」
満足していないのはわかっているけど、さすがにもう1回とは言いづらいらしい。
咲「ね~、パパ~(笑)」
……言うに事欠いてそれですか?(笑)
ね「本当に最後だからな。何が出てもだぞ」
大きく頷く。そして最後の一回し。
ゴロン
今までとは異なる重厚な音がした。
ん?容器がアルミのような金属製だ!持った手に伝わる金属の冷たさが否応なしに期待感を高める。
咲「たかぶる~(笑)」
ね「開けてみ(笑)」
咲「あ、ウィスパーじゃない!(笑)」
ね「何々?(笑)」
咲「…………」
ね「何が出たんだよ?(笑)」
咲「ラブ・セロファン……」
折り畳まれたバイオレットなセロファン。
照明器具に被せてうんたら……
ね「ほらね(笑)」
咲「映画に行けたね……」
春の風が咲のスカートを揺らす。
ね「ね、帰らない?」
咲「出てきたばっかりなのに?怒った?」
実はエレクトリックのくだり辺りから、
ね「怒ってなんかないよ(笑)」
ムラついているとは言えない(笑)
咲「じゃあ、どうした?」
ね「うん、……何でもない(笑)」
咲「変なやつ(笑)」
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