ep.6

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咲「お金出すから、もう1回回して」 ね「勿体ないから止めとけよ」 咲「こんなに体に力入ったのに、目隠しじゃ引き下がれない(笑)」 ね「(笑)」 仕方なくもう一度。そして咲に渡す。 咲「whisper ソープって書いてある……」 また、ウィスパーかよ?(笑) ね「魅惑の泡立ちだってさ(笑)」 咲「石鹸って……500円も出してるんだから、もっとエレクトリックな物は出ないわけ?」 ね「大体さ、入れ物がこの大きさなんだからさ(笑)」 咲「…………」 満足していないのはわかっているけど、さすがにもう1回とは言いづらいらしい。 咲「ね~、パパ~(笑)」 ……言うに事欠いてそれですか?(笑) ね「本当に最後だからな。何が出てもだぞ」 大きく頷く。そして最後の一回し。 ゴロン 今までとは異なる重厚な音がした。 ん?容器がアルミのような金属製だ!持った手に伝わる金属の冷たさが否応なしに期待感を高める。 咲「たかぶる~(笑)」 ね「開けてみ(笑)」 咲「あ、ウィスパーじゃない!(笑)」 ね「何々?(笑)」 咲「…………」 ね「何が出たんだよ?(笑)」 咲「ラブ・セロファン……」 折り畳まれたバイオレットなセロファン。 照明器具に被せてうんたら…… ね「ほらね(笑)」 咲「映画に行けたね……」 春の風が咲のスカートを揺らす。 ね「ね、帰らない?」 咲「出てきたばっかりなのに?怒った?」 実はエレクトリックのくだり辺りから、 ね「怒ってなんかないよ(笑)」 ムラついているとは言えない(笑) 咲「じゃあ、どうした?」 ね「うん、……何でもない(笑)」 咲「変なやつ(笑)」
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