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い「今日、うちのお父さん、朝からゴルフへ行ったんだけど……」
いくもの話はこんな内容であった。
ゴルフ仲間が、早朝いくもの家に集まる。
その中の1人に、今助手席に膝を乗せ、こちらをうかがっている少年の父親がいたわけだ。
一緒に行くと駄々をこねたらしく、仕方なく連れては来たものの、知らないおっさん連中がずらずらと集まり、萎えた彼は一転家に帰ると言い出す。
いくもの母と少年は顔見知りらしく、じゃあ、後でおばさんと一緒に帰ろうね。なんて言っていたらしい。
いくもの話が続く。
い「しばらくしたら、お母さんの友達の独居マダムから電話がかかってきて」
い「……なんかその友達……トイレの中でぎっくり腰になって動けなくなったらしくて、お母さん、私にちょっとその子見ていてって言って慌てて出て行ったのね」
七「で、連れて来ちゃったの?」
い「唯一知ってる私のお母さんまで居なくなって、スッゴく不安そうな顔してたから、つい私、お姉ちゃんとバーベキュー行く?って言っちゃったんだ……」
七「向こうの親は知ってるの?」
い「うん。電話した。お願いしますって……」
七「お願いしますか……チャレンジャーだな(笑)」
い「私、責任持って面倒見るからさ」
七「みんなで見たらいいよ。一応いくもが責任者ってことでさ」
い「いいの?」
七「いいよ(笑)」
い「……」
い「……う」
い「う、う、うわぁぁぁーん」
泣くと思った(笑)
い「あんた達に何も言わずに連れて来ちゃって、スッゴく困ってたんだぁぁぁ……ぶへぇぇ」
咲「ほら、あの子、怯えて見ているからさ(笑)」
いくもが落ち着くのを待ち、車へ戻る。
姉が運転を代わる。
七「ねえ、名前教えてよ」
子「嫌だ、ブス」
七「あはは、残念だけどお姉ちゃんブスじゃないんだな、これが(笑)」
子「じゃあ、ゴリラ」
七「ありがとう♪ブスじゃないって認めてくれて~」
子「……」
七「夏休み楽しい?」
子「別に」
七「何かスポーツしてる?」
子「……サッカー」
七「そっか、そっか、サッカー楽しい?」
子「うん」
七「試合の時とか友達は君のこと何て呼ぶの?」
子「たくやとか、たっくんとか」
七「そっか(笑)」
土手を上がり下りると専用の駐車場がある。
さて、こうしてBBQ with たっくんが始まったのだ。
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