1 シナリオライター

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その後、シナリオライターの安業寺ふみは、ちょくちょく瀬織の家に遊びに来るようになっていた。 瀬織が家に招くと言うことは、仲間に引き込む気があるということだ。 気に入ったのだ。 瀬織達の生活等の、情報の流出を本来避けるべく、人を招くことには慎重になるべきだ。 しかし、瀬織は意地を張っている。 口では、人を信じるな、と言う瀬織だが根本は大甘で、人を信じたい。 また、瀬織も、人に囲まれたいと言う気持ちも強い。 だから、以前と変わらず、人を連れ込むのだ。もちろん、身元調査はより入念にしている。 その土曜の夜も、安業寺ふみは、泊まり込みで遊びに来ていた。 瀬織は陣平と共に、安業寺とのヤルンダーJ談義に熱くのめっていた。 瀬織は、だん!と、日本酒のカップをテーブルに置いた。 キッチンにいたドジコが、何事かとこちらを覗いたほどだ。 「ダメダメ!ヤルンダーJにはね、絶対的な強さがあるべきよ!」 安業寺は、ビールを瓶からグラスに注ぐ。 「それでは、話が面白くならない。 完全でない部分があるから、面白いの! 弱さがなければつまらない。」 瀬織は、柿の種を パリパリ食べる。 「それは困る。弱いのは乗ってる人間だけでいい。機械は強くないと。」 安業寺はぽん!と手を叩いた。 「そういえば、陣平くん、宿題は?」 陣平は、仕方なさそうに、USBメモリーを差し出した。 「俺は素人なんだから、どうかなあ。」 中身は、ヤルンダーJのシナリオだ。 若い人の意見を取り入れる、と言うことで、安業寺が陣平にシナリオを1本書かせてみたのだ。 安業寺は、それを大事にしまった。 「ま、読んでみる。面白ければ、採用するわ。」 「恥ずかしい限りだよ。」 シズカとスラリが地下の道場から上がってきた。 今日は瀬織が稽古をつけないので、2人で体術の練習をしていたのだ。
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