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―――落ちる
瞬間何がなんだかさっぱりわからなかった。突然、重力に従ってとてつもない力が体をへし折ろうとしているのがわかった。
――重力
――おちる。
物凄い風のせいで、何も聞こえない。五感全てをシャットダウンされた気がして男は慌てた。急流に流された子どものように、ただ口をぱくぱくさせて手足をばたつかせた。恐怖と驚きで手足がひきつりそれは余計に不安を煽ることとなった。
――おちる
男は、手を握りしめて、勇気を振り絞るように、目を開けた。
青い空
――俺は死ぬのか
瞬間、水に落ちた。
まるで、コンクリみたいだな、と朦朧とした頭で思い、最後にあの空は綺麗だったな、と思った。
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