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放課後の教室。
あたしたち以外に誰もいない。
開いた窓から部活動の声が聞こえる。
少しずつ暑くなり始めた5月。
大きな大会を機に、引退した子も多い。
3年生のあたしたちは、すっかり受験モードに突入といった感じだ。
教室の棚の上にいけてあるアネモネを見ながら、頬杖をついて呟く。
「そろそろ帰っていいですか」
返ってくる答えは知ってる。
「ダメ」
ニヤニヤ真似して頬杖をつく前の席のコイツ。
「柳瀬…帰りたい」
眉間にしわを寄せて睨んでみるも、ニヤニヤしてる彼には効かないらしい。
彼、柳瀬樹(やなせたつき)には。
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