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「で、ここ何ー?」
コイツは…。
仕方なくペンケースから再びシャーペンを出す。
「どこがわかんないの?」
神崎千春(かんざきちはる)、つまりあたしの名前が書いてある問題集を開く。
「ここ」
2週間ほど前から放課後はこの調子だ。
放課後、みんなが帰った後、あたしは柳瀬に勉強を教えている。
柳瀬とは三年間一緒のクラス。
けれど、まともに話したのは三年になってからだった。
「あたしなんかじゃなくて、もっと頭いい子に頼めばいいのに」
あたしの成績は進学クラスで中の中。
決して人に教えられるような成績じゃない。
「だって、神崎の方が話しやすいじゃん」
「…そこはかとなくバカにしてないか?」
「え?」
ニヤニヤしながら首を傾げる柳瀬。
全然可愛くないぞ。
話しやすい友達、ね…
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