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なにも言えない俺をよそに愛琉は笑顔になり言った。
「でもね!私もそんな毎日の中でずっと考えてたんだ!どうやったらこの日常が変わるんだろう?前に進むんだろうって… そこで思い付くのはやっぱり私の好きなこと… 歌うことをキッカケにして変わろうっておもったんだ!」
なんか愛琉らしいな。
ん?歌って変わるってことは、あの雨の日歌ってたのは…
「それであの雨の日、柚李が傘を貸してくれたあの場所で私は思いっきり歌ってやろー!って。あそこ本当は前は私の生まれた産婦人科があったんだ!今はもうなくなっちゃったけど…だから私が生まれたこの場所で変わらなきゃって思ったの!」
「まぁ、少し恥ずかしかったけどね」と付け足して愛琉は笑っていた。
「だから本当に嬉しかったんだ!その日歌いおわって気付いたら肩に傘がかかってて、誰のだろうって思ってみたら高校と傘の持ち主の名前が書いてあったからこれはもう変わるキッカケだな!って。…まぁ最初は名前見たとき女の子だとおもったんだけどね(笑)」
あーよく言われてたな、小さい頃。
てかそれ少し俺も気にしてんだぞ!
…まぁ愛琉が元気になって良かった…かな??
「それで傘返しに行って帰り傘持ってる人で似てる傘持ってるのが貸してくれた人だと思ったんだよね!ほら、あの日の快晴だったから傘持ってるのなんて私が返した人だけかなって思って!そしたら本当に柚李に会えたんだ!」
あーそれでか。
なんですぐに俺って分かったんだろうって思ってたんだよね。
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