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あの時の唄だ……愛琉に傘を貸した…あの時の……えっ…?
っあ…そうか…だからか。
そりゃカラオケでも歌えないや。
カラオケじゃ曲がないんだから。
………いや、それよりも---
「なぁ愛琉、この唄ってまさかあの雨の日の唄じゃないのか?」
「…………………やっぱり、気付いてくれると思ったよ?」
愛琉は凄い嬉しそうにしている。
なんならちょっと泣きそうな勢いで言った。
「うん、そうだよ柚李…あの時の……私達が出逢うことが出来たキッカケの唄だよ。」
目にはもう涙が浮かんでいた。
はぁ………。
…………やっと聴けた。
ずっと…ずっと聴きたかった…
何度も何度も脳内で再生されるこの唄を…
「愛琉、俺もこの唄ずっと聴きたかったよ。なんかあの日から頭から離れなくてさ……まさか愛琉が作った唄だとは思わなかったけど。」
「ヘヘッ…嬉しいな♪柚李にそう言ってもらえるなんて!この唄はね、私が変われたキッカケの唄でもあるからさ……自分で作っておいて変だけど感謝してるんだ!………完成させてくれる柚李と未来先生にもね♪」
俺と未来先生を見渡しながら愛琉は言った。
そう言う愛琉の顔にはいつもの笑顔が戻っていて、涙も消えていた。
「…………と、なんだか知らないけどお前ら俺のこと忘れてない………?」
…完全に忘れてた。
「まぁどうせ忘れてたんだろうが。………まぁけど話を聞いててお前らがそうとう思い入れのある唄なんだって言うことは分かった!………それなら俺もなおさら本気でやらないとな。教師としてひいきは出来ないが………それでもお前らにはやっぱり最高の思い出を作ってもらいたい。」
と握りこぶしを作りながらそう言う未来先生はいつもよりかっこよく見えた----
「っま俺としては柚李のデレも見れたしなお満足。」
「ですよねー♪」
「雰囲気台無し。」
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