学園祭~前編~

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「ふぅ、一発目にしてはうまくいったんじゃないか?まぁもう少し俺らの息が合ってれば良かったんどけどな、……っま、まだ初日だし練習する時間はちゃんとある。あせらずに少しずつ完成に近付けてこうぜ!」 よかった、なんとか未来先生最低レベルには達していたみたいだ。 愛琉は歌が上手い。 未来先生はドラムがうまい。 ……俺だけ足を引っ張るわけにはいかないからな。 「ならよかったです。まぁこんだけギターやっててまだこのレベルなのかよって感じですけどね。」 俺がそう言うとそれを聞いた愛琉が俺のもとへ来て言った。 「私はそんなに下手だとは思わなかったよ?何て言うか、上手いとか下手とか言う前に柚李が一生懸命弾いてるのが伝わってきたから!なんか私ね、それだけですごい嬉しくなっちゃって♪私だけじゃなくて柚李も未来先生も良いもの作ろうとしてくれてるのがさ!」 愛琉はそう言って頭を抱えながら照れていた。 ………なんか励まされてるな、俺。 「そうだぞー。やっぱ上手いとかどうこう言う前に気持ちが入ってねぇと演奏もくそもねぇよ。大体そんなもんは誰が見ても面白くならねぇ。」 面白くなるかどうかは未来先生の、都合だとして見てる人の事を考えるって言うことに関しては確かにそうだと思った。 まぁ、誰も俺がギター弾くところなんて見たくないと思うけどさ。 「あぁそうだな。……なんかすんません……変なところばっか気にしちゃってて。」 「とにかくみんなでもっと良いもの作っていこうね!………っと、いつの間にかすごく外が暗くなってきてたね。夢中で全然気付かなかったよー。…じゃあとりあえず今日はこれくらいにしてまた明日からも頑張ろう!………………てな感じで大丈夫ですか?未来先生。」 なんにせよこの学園祭に一番本気なのは愛琉だって言うことだ。 だから俺も出来るだけのことはしてやりたいと思ってしまう。 ………ってなに言ってんだ俺。 「あぁそれでいい。これからちょうどまた習い事の先生があってな。」 「俺もそれでいいよ。」 ----------そんな感じで練習一日目。 なんとなく、だけど愛琉と未来先生との関わりかたが変わったと思った一日になった----
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