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「よいしょ、っと」
「きゃあ、何するんですか!?」
「きゅうっ!?いきなり…は…ダメ。」
私は軽々と二人を両脇に抱えた。
「だって私が二人を抱えて走った方が早くつくし」
「そんなわけないじゃないですか!」
「とにかく、道だけ教えてね。」
タタタタタッ
自分でも驚くくらい脚の速くなった私はボルトもビックリのスピードで走り出した。
「うみゅ~…やっぱり…ユウリ…はやい…」
「つ、次は右です!今度はまん中!ひ、左!!ちょっと、ユウリさん速すぎませんか!?この先は道なりです!」
「そうかな…。まだ全然余裕あるよっ♪ほらっ!」
「や、止めてください!!宿、もうすぐですから!!」
「わかった。あ、あれじゃない?」
「そうです、あれです。」
「ユウリ…あれから…一時間…」
「そうですよ、つくの早すぎでしょう?」
「でも、少し空がオレンジがかってるよ?」
「あのペースなら夜中につく予定でしたよ。」
「まあいいから入ろうよ」
「お腹…空いた…」
と言って私について来るリツ。
「私を食べないでくださいね。」
タミラも入ってきた。
「基本的に、ドラゴン…人を食べない…。」
「今、初めて知りましたよ。」
「おや、タミラちゃんじゃないかい!」
「おばさん、お久しぶりです。」
40代程の女性がタミラに話しかけた。
タミラの知り合いのようだから宿主かもしれないな、と私は考えながらリツの頭を撫でた。
「うにゅう…♪」
可愛い…。
「久しぶり…今日はどうしたんだい?」
「森に薬草を取りに。」
「そうなのかい、ところでそちらは?」
「森の中で出会った…」
「ユウリです。」
「リツ…」
「ハッハッハ、リツちゃんは照れ屋さんなのかい!」
「…っ!」
リツが私の袖をギュッと掴んだ。
「よしよし…。」
「うにゅ~」
「じゃあ、お部屋に案内するよ。」
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