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 目を覚ました私が最初に見たものは、不気味に笑うフランス人形だった。 すぐ近くに置かれているわけでもないのに、間近で見つめられているかのようなその視線に驚いた私は、飛び起きたかった。 だが、何をしたわけでもないのに体は痛んでいた。 ゆっくりと、腕の支えがないと起きれない。 フランス人形から視線を外し、まだぼやける目の中に橙色の光が差し込んでくる。 電球だ。 裸電球は高く、暗い天井から伸びていて、その光を邪魔する縦と横に伸びる線の影を捉えさせた。 上半身が起こせた時にその横の線の影に手をかけると冷たく、その感触は意識を戻すのを手伝ってくれる。 私はやっとで、ぼやけ眩んだ頭をはっきりとする事が出来、今、自分がどこにいるのかを自問出来た。  私は、牢の中にいた。  しかし、刑務所のイメージである三方がコンクリートの壁で一方が鉄格子、という牢ではない。 四方が鉄格子である。
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