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鳥籠、と表した方がよさそうだ。 上から被せたかのように囲む鉄格子はひんやりと私を圧迫する。  牢の中には私の体が一つ、まだ転がっている。 他には何もない。 ただ、薄くはあるが絨毯が敷かれているのでただ固い床よりはましと言ったところだ。 吸う息や肌にざらりとする感触が埃っぽさを教えてくれる。 何にせよ、ましだ。 この絨毯がなければ痛んだ体はより痛み、そして冷え、固まっていた事だろう。  私は目の前に縦横する黒い線を確認するように撫でた。 指先に冷たい感触が伝わる。 やや太い柵は、鉄の匂いがする。 錆の匂いがつんと鼻をつき、口から息が出た。 ただの息はため息のようで、それでも自分は生きている、と確認させる。 錆びた匂いを気にせずに深呼吸気味に深く、深く息を吸い込む。 そして、吐く。 目を瞑って、開ける行為をした私は、自分の体はどこにも怪我をしていないと知った。
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