27人が本棚に入れています
本棚に追加
と、その時、私の頭上に電気が点いた。
やはり裸電球で、強い光は私に数回まばたきをさせ、目を擦らせる。
私のまわりはより明るくなった。
そしてやはり、私はフランス人形に視線を奪われた。
気味が悪い。
こっちを、見ないで。
そう思うのに、私はフランス人形から目を反らしては、また戻していた。
フランス人形は大きなチェストの上に座っている。
チョコレート色のチェストのその大きさは何かを塞ぐかのように佇んでいる。
何か、はすぐに見えた。
扉である。
壁際などに置くはずのチェストは、その大きさに見合う大きな扉を塞いでいる。
フランス人形は、ただ座っているのではなく、まるで番人のようだ。
金色の巻き毛に西洋風のドレスは薄汚れていて、肌も傷のように所々黒く汚れている。
アンティークドールというものか、おそらく肌は陶器なのだろう、私は思った。
最初のコメントを投稿しよう!