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「今年も何とかやり過ごせたな。いや、本当は餅代も無いが」
ノボルは仕事場の小さなちゃぶ台を前に、とりあえずお疲れ様宣言した。
年末になって、コダマは祖母のサクと喧嘩をした。
コダマはノボルの仕事場兼寝床である、築40年のアパートに転がり込んだ。
ただでさえ危険な家計は火の車だ。
「ノボルちゃんの酒代がなければ、餅代出るよね」
「お兄さん、今年のうちにコダマさんを下さい」
何故か、コダマの彼氏であるタニガワまでもがちゃっかり上がり込んでいる。
「コダマ、俺はお前を鬼に育てた覚えはない。それとタニガワ、どさくさに紛れたから却下だな」
どのみち調子の良いタニガワに許可を出す気はないから、タニガワは来年もこのままだろう。
コダマの気が変わらなければ。
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