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店に入って来たのは男の三人組だった。 近所のアパートに住む常連客の大学生達である。 三人は辰也と桃華に笑みを向けながら、カウンター席に座ると、口を揃えたようにビールを注文した。 「こんな時間から三人揃ってどうした?」 言いながら辰也がビールと、お通しの塩ゆで落花生をカウンターに並べる。 「信次が女と別れたから激励会ッス」 左端の大学生が、隣の男の肩を叩きながら軽いノリで言った。 「後、サークルの新入生歓迎コンパの打合せ」 右端の男が続けた。 三人共、それなりにお洒落で、特にカッコいいと言うわけでは無いが、不格好なわけでも無い。ごく普通な大学生達である。 信次と呼ばれた中央の男は、赤く目を充血させていた。 「そう言う事か…… まあ………仕方ないな。 最初の一杯はおごってやるよ」 辰也がタバコに火を点けながら言うと、左右の二人から歓声が上がった。 信次は辰也を上目使いで見ると、申し訳なさそうにお辞儀をした。 「で、信次。別れた理由は?」 辰也が尋ねる。 「───」 「……二股掛けられてたんッスよ」 無言の信次の替わりに、左端の大学生が答えた。 「まあ……よくある話だな。 歴史的に言うと、男より女の方 が貞操観念が低いってのが定説らしいぞ」 「マジですか!?」 右端の男の言葉に辰也が話しを続けた。
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