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25日
わりと辛辣な言葉が飛び交います、愛故
満月の夜に悪魔は星痣の彼をいじりに行きましたとさ
―――
悪魔「よお、ガキ。何だその格好。仮装か?」
千尋「……あんたかよ」
「いつにも増して冷てえのな。おっさん嬉しいぜ」
「はあ……ただでさえ最悪な気分なのに」
「お前…もしかして、あれか。昔聞いたことあんだが…。魔力足りなくて狼に変身出来ない半端者な狼人間が生まれることがあるとか何とかってやつ?」
「そうだよ。俺はその半端者だよ。でも、あんたには関係ない」
「ひゃっはっはっはっ!なるほどな、ならちょうどいい。ひゃっははっははははっ」
「……なに」
「なあ、狼にしてやるって言ったらどうするよ」
「は?急に何言ってんの」
「ちゃんとした狼に変身できるようにしてやるっつってんの。ただし、なれるのは一回だけな」
「…………」
「どっかのお人好しが慈悲深~いお願い事をしてくれていてな。…まあ、お前の場合はそれだけじゃ少しばかり代価としちゃ足りねえのよ。だから、ちょこっとした代価をお前からもいただくことになるわ」
「あんた、一体何なんだよ」
「俺は悪魔だ。代価をいただいて、それに見合った恩恵を契約主に与える。それだけ」
「代価…」
「本当だったら、耳やら指やらいただきたいとこなんだがな。今回は取り返しの効くようなもんでいいぜ。どっかのお人好しに感謝しろよ」
「…………」
「さあて、何を差し出してくれるんだ?迷うな、逃げるな。やりたいことがあるんだろ?なあ、半端者」
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