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「おい、さっさとそのうるさいガキを連れて帰れ。俺にも我慢の限界があるぞ」 「ちょっとぉ! 誰がうるさいガキですってぇ!?」 「シッ! 桜っ、早く行くよ」  小声で叱りつけられてムッとしたが、早苗の表情や声があまりにも切羽詰まった様子だったため、桜子は口をつぐんだ。  早苗はそのままものも言わすに桜子を引っ張っていく。  その力が異様なほどに強くて、意識が早苗に集中してしまった桜子は、このとき振り返る機会を逃した。  もしも振り返っていたなら、あるいは桜子も気づいたかもしれない。  青年が人ならざる者であると。  そして、その威圧感に思い出したかもしれない。  かつて彼とよく似た空気をまとう人物に会ったことがあると。
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