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 少女が浮かべる笑みは変わらなかったが、それがなぜか桜子にはだんだん不気味に思えてきた。  悪戯っぽい笑みではない。悪意のカケラも感じられない、純粋無垢な笑み。  それはときに、悪意よりもはるかに大きな不安を伴って向き合う者を呑み込む力になるのだと、桜子は知った。 「罪とか言ったわね。私がどんな罪を犯したっていうの? そもそもあなた誰よ?」 「私はステラ。今のところ、おねーさんの唯一の救い手といったところかな」  アニメの見過ぎとしか思えないセリフ。  やはり少女の笑顔は崩れない。 「それで、私の罪っていうのは?」 「禁忌を犯した」  少女の答えに、思わず桜子は鼻で笑った。 「話にならないわね。具体性が何もないわ。こんなところで油売ってないで、子どもは早く家に帰りなさい」  踵を返し、桜子は今度こそ改札に向かって歩きだした。 「いいの? おねーさん、死んじゃうよ」 「はいはい、あなたも車に轢かれないように気をつけて帰りなさいね」  桜子は振り返ることもなく、ひらひらと手だけ振って少女と別れた。
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