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足首まで簡単に埋まってしまうほどに降り積もった雪の上。
白っぽい服を着た少年がひとり、寝そべっていた。
ちょうど滑り台の前だ。
まるで滑り台を滑って、そのまま倒れたかのように。
けれど、滑り台に降り積もる雪はふくふくとしていて、誰かが滑った跡などなかった。
少年の周囲にも足跡らしきものは見当たらない。
あの少年は、いつからあそこにいる?
彼女の胸に嫌な予感がよぎった。
雪がやんだのはいつなのか?
少なくとも、己が目覚めた一時間前にはやんでいたはずだ。
少年の着ている服が白っぽく見えるのは、本来の服の色ではなく、雪の色ではないか?
そこまで考えが及んだとたん、彼女はとっさに走り出していた。
が、雪に足を取られ、思うように前に進めない。
「ちょっと、ぼく!」
走ると言うよりも、たんに勢いよく雪を蹴散らして歩いているような状態だったが、なんとか少年のそばまで行くと、彼女は恐る恐る少年に手を伸ばした。
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