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 夕方の六時半にもかかわらず、大きな通りからは離れた場所にあるファミリーレストランのせいか、お客はまばらだった。  店員が運んできた飲み物を受け取り、各人の前に配りながら、恵美は苦笑いした。 「朱音、あんたデートの前に飲むつもり?」 「カクテル一杯くらい良いでしょ。付き合い長いし、彼もそんなの気にしないわよ。そう言うメグだって、飲む気満々じゃない」  そんなことはいいから、さっさと話してちょうだいと言いながら、朱音はグラスに口をつける。  桜子は怒りを飲み下すようにオレンジジュースを煽ると、テーブルに叩きつけるようにしてグラスを置いた。 「あいつが私のことを侮辱したのよ!」 「あいつって誰よ?」  朱音の視線を受け、早苗はため息をついた。  従姉妹同士の朱音と早苗は、面差しがどことなく似ていた。 「うちのクラスの羽沢愛莉。うちのクラス……というか、うちの学年のアイドルかつ番長って感じの子なんだけどね。こないだ、その羽沢愛莉の片想いの相手が、桜に告白したらしくて。それを桜がフッたっていうんで、その話を聞いた羽沢愛莉がいたくご立腹しちゃったのよ」
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