君の香りに包まれて

１

「来週迄にさ、人並みに滑れるようにならなきゃいけないんだよね‥‥俺」

来週って‥‥‥

いや、人並みがどの程度かって話もあるけど‥‥‥

無茶な事を‥‥‥

「昼間は仕事があるし、スクールとかは、誰に会うかわからないと思うと、やっぱ恥ずかしくて‥‥」

う～ん‥‥‥

まぁ‥‥ねぇ‥‥

気持ちは、わかる‥‥

「滑れない事を滑れないって言えないの、ダッサイよね、俺」

お兄さんの顔は見えないけれど

きっと、情けない顔をしてるんだろうなぁ

どんな事情があって、滑れないのに滑れる事にしちゃったのかわからないけれど

きっと今、悔しい、歯痒い気持ちでいるんだろうなぁ