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‥‥‥そして 楽しかった時間にも終わりが迫り 9時を回って、ゲレンデに滑ってきた所で あたしはスキーを脱いだ 大きく手を広げて、それから、お辞儀をする フィギュアスケートのお辞儀みたいに 彼は息を切らせながら 「今日は終わり?‥‥また明日?」 と‥‥‥ ああ、そうか‥‥‥ 私が明日にはここに居ないことを伝えなくちゃ‥‥ あたしは、雪の上にストックで 『OVER』 と、書いた それから、もう一度大きくお辞儀をしてみせる ごめんね、明日からは私はいないよ 「‥‥これで最後?」 彼の戸惑う声に、少し私の気持ちがくすぐられる ほんの数日、一時間程度一緒に滑っただけなのに
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