第05章 愛[あい]

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いつだったか─────草薙幸村が言っていた。 「えぇと、この世で最強の魔法って、何だと思う?」 あの時は何気無い会話の1つだった。故に、真面目に返す事も無かった。 しかし─────妙に心に突き刺さる一言でもあった。”違和感”とでも言えば良いのか。喉に何か引っかかる様な、そんな感覚。 そしていつしか記憶の隅へと追いやられ忘れていた。しかしふと思い出すと、その引っかかりは無くなっていた。 なぜなら、今ならその問いに答える事が出来るから。 その答えは「”恋”の魔法だ」─────と。 クサい台詞かも知れない。だがルシフェルは身を以てその魔法を体感した。 誰がかけた訳でない。 しかしルシフェルはいつの間にかその魔法にかかっていた。 神の立場を捨てて1人の人間に”恋”をした。そしてその感情はルシフェルの心の中で育ち”愛”となる。やがて生まれてきた子供達も”愛”する様になった。 ルシフェルの半生は”恋”の魔法に振り回された人生だった。 しかし思う。 ─────「我は幸せだった」と。 fin
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