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(─────左手が無い)
土魔法を出す際に突き出した左手が切断され、宙に舞っているのだ。
「……まったく……」
呆れた様に呟いた後、追撃態勢を解く。右手から漏れる魔法を消すと、相手も気持ちを落ち着かせる。
左腕に力を入れると、ブシュと小さな音を立てて流れる血が止まる。
「……流石、噂通りだな。草薙幸村」
地面に落ちた左手を拾いながら、相手にそう言うと、"草薙幸村"と呼ばれた男も、持っていた剣を鞘へと仕舞いながらそれに返す。
「お前こそな─────ルシフェル」
─────栄貞6年。
つまり首相榊貞一が独裁政治を始めて6年の歳月が経ったこの年。
たった1つの、しかしここ"ワノクニ"の運命を大きく変える出逢いがあった。
これが、ルシフェルと草薙幸村、2人の始めての出逢いだった。
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