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エドエリア
幸村の自宅
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「ここだ、上がってくれ」
その後意気投合した2人。野宿するというルシフェルを、幸村は半ば強引に自宅へ招き入れたのだった。
平屋建ての木造建築。いかにもな和風の一戸建ては、しかし周囲の家の数倍の大きさを誇っていた。重厚な門を通ると、塀で気付かなかった庭の広さに驚かされる。
そこにある池や樹々は隅々にまで手入れが施され、ワノクニ独特の感性である”ワビサビ”の心が伺える。
幸村に続いて緩やかに弧を描く石畳を通り、玄関へと入ると食事独特の優しい匂いがルシフェルの鼻をくすぐる。
「あら、お友達?」
奥から声がしたかと思うと、廊下の向こうからパタパタと小走りで美しい女性が2人の前へと姿を現す。
「ああ、ちょっとそこで命のやり取りをしてきた」
「あら、そう」
2人の間ではよくある会話なのだろう。一般的には物騒な会話が、当たり前の様に軽くかわされる。
「こいつは"茶々"、俺の婚約者だ。こっちはルシフェル。デワエリアから俺の噂を聞いて会いに来てくれたらしい」
幸村の紹介に併せて笑顔で会釈をした茶々は、ルシフェルの左手へと手を伸ばす。放たれた優しい光は、切断されたルシフェルの左手を元に戻し、同時に体中の傷も回復していく。
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