第01章 逢[あい]

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"茶々"と呼ばれた女性。 まだあどけなさの残る顔付きに、しかし瞳の奥には凛とした意思の強さを感じさせる。長い黒髪をツインテールで結わえて腰までたらしており、白を基調とした涼しげな民族衣装は、この地域一帯では回復系の能力家系を表している。 ルシフェルの第一印象としては「流石は幸村の婚約者」といった所だ。明確な理由は無い。だが直感でそう感じさせる何かを持つ女性だ。 気付けばルシフェルの体は完全回復していた。既に奥の部屋へと行ってしまった幸村から「早く来い!」と叫び声が聞こえる。 苦笑いの茶々にも促され、ルシフェルは応接間へと通される。 「いやあ、しかし噂に聞く実力だった。流石ワノクニ三巨頭の一角、ルシフェルだ」 ルシフェルがリビングに入るなり、既にソファに尻を埋めている幸村が会話を進める。 「……勝手に付けられて迷惑しているのだ。それに三巨頭の一角はそなたもであろう?─────まあ、その噂のおかげで、今回そなたに会いに来た訳だが」 幸村にジェスチャーで促され、ルシフェルもソファへと体重を預ける。 ”三巨頭”。 それはワノクニの実力者3人を噂ベースで英雄扱いした呼び名だった。 料理の火を止めてきた茶々は、今度は幸村へ回復魔法を施し始める。
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