第01章 逢[あい]

6/46
48人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
「─────で、さっき話の途中だったな。何の話だっけ?」 吉乃が幸村の回復に当たっている為、食事の用意はまだ少し時間がかかる様だ。火をつけたタバコの煙をふぅと吐いた幸村は、ルシフェルにもタバコを勧める。それをジェスチャーで断ったルシフェルは、幸村の問いに答える。 「我が地上に堕ちた理由……であろう?」 「そうだった」と幸村は頷く。 「我が元々天使だったと聞いて、その場で信用する者なぞ、始めて見たがな」 「あ?俺と対等に戦える奴なんざ、人間にゃいねぇよ」 幸村の反応にいちいち苦笑いしていたルシフェルは、しかし遠い目をして語った。 「"決別"と"運命"の為……と言えば良いのか」 その短い言葉と口調に、幸村はルシフェルの空気が変わるのを感じとる。 「─────”神”という存在は、なぜそう呼ばれるか分かるか?」 質問の意味が分からない幸村は、無言で肩をすくめる。
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!