第01章 逢[あい]

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「─────にしても、"神"って肩書きも悪くなかったんじゃねぇの?」 骨付き肉を豪快に噛みちぎる幸村に、ルシフェルは野菜スープをすすりながら返事をする。 「我からしてみれば最低の風習さ。確率で自分の存在を選別されたくなどない。それに……心から愛する女性の為に自分を犠牲にすると言うのも、そう悪くはない」 「ああ」と答えた幸村は、チラと茶々へと視線を向ける。その表情は、少し前にルシフェルと激闘を繰り広げたそれとは全く違うものだった。 食事も終わり、2人の腹には確かな満腹感が広がる。 食後の一服に火を着けた幸村は、話題を変えた。 「そう言えば、ハンゾウ城見たか?一応エドエリアの名所になってるんだが……時間があるんなら、寄ってみるのも悪くないぜ」 「ああ、もう観てきた。良い観光名所だ」 「観光名所……か。あれ、対モンスターの防災施設でもあるぜ」 誘導尋問の様な言葉と、何か言いたげな目線に、ルシフェルは再び苦笑する。
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