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そこは特にどうということもない町だった。
何か特別な組織に支配されていたりするワケでもなければ、特に大都会というワケでもない。
そんな平凡な町の中をまさかの速度で切り裂くように駆ける少女がいた。
「まさか…私が…遅刻するなんてッ」
力一杯惜念を込めながら疾る。
腰からぶら下げたカラビナには朝食のパンが詰まっていたが、もう食べている暇はなかった。
…くわえて走ると息が続かない。
ありとあらゆる障害物をやり過ごして、校門を…
ガタンッ
閉まった門を見るなり彼女は親指の腹を噛み千切った。
それを一凪ぎすると右側の空間が裂け、二丁の拳銃が現れた。
手に持つなり目の前の門を狙い撃つ、
ガギンッガギンッガギンッ
その反動で仰け反った門をくぐり抜けた。
カーンコーン…
「セーフ…か?」
ギリギリアウトなのはさて置き、この学校では一風変わった校則がある。
「自分の能力の範囲内なら、どんな手を使ってもいい。…とは言ったが、器物破損はいかん!」
校門はひしゃげてしまった。
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