米押し達磨

3/5
前へ
/5ページ
次へ
達磨を知らねえ旅の男、高崎の道中、生まれて初めて達磨を目にします 「お、なんだいお前、手も足もねえじゃねえか、どうしたってんだ。ハードなプレイかなにかか?」 ……バカなこというなよ。達磨も見たこともねぇくせに、へんな知識だけありやがんな 「こりゃ驚いた。あんた、喋れんのか」 ……私は達磨大師、その本人だよ。私を模した置物がここいらじゃ名物なんだけど、私がそのモチーフになった男だからね。にぃさん、あんたホントに達磨も知らねえのか? 「食べたことないね」 …私を模したって言ってんのに食欲目線で見るんじゃないよ 「抱いたこともねぇ」 …性欲目線は同じくらいありえないだろ。そもそもあんた、私のスタイル見ても興奮しないだろ 「そういや、乳がねぇもんな」 …そこ、気になる?もっとねぇもんがあるだろ? 「いや、ちんこがねぇことは一目瞭然だから性欲目線で見たんだけどな」 …なんでもありかよ。私はね、にぃさんと違って、煩悩を消そうと毎日毎日功徳を重ね、「法」という意味の名前を貰った大師なんだよ 「……ほう」 …くだらないよ。それでな、一心不乱に修行し、ひたすら拝んでるうちに手足がもげちまったんだよ 「へぇ、それで、糊の容器みてえなナリしてんのか?」 …あの黄色い可愛らしいやつか、最近見ねえな 「よく見ると糊の容器ってより、ダルマ弁当の容器みてえなナリしてんのか」 …あれが真似してんだよ。てか、確実に知ってるよな 「とにかく、あんた偉い人なんだな。生憎持ち合わせがねぇや、なんのお布施も出せねぇが、そうだ、持ってる握り飯、お供えしてやるよ」 …なんだいこりゃ 「なんだいってあんた、握り飯も知らねえのか?」 …生憎手がないから握れないもんでね 「かわいそうに、飯は握り飯が一番うめえんだぞ」 …のりたまより? 「お前も、確実に色々知ってるよな?ま、いいや。手もなくちゃ食えねぇか?」 …いや、心配には及ばん。こうやって体を寄せて……
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加