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達磨を知らねえ旅の男、高崎の道中、生まれて初めて達磨を目にします
「お、なんだいお前、手も足もねえじゃねえか、どうしたってんだ。ハードなプレイかなにかか?」
……バカなこというなよ。達磨も見たこともねぇくせに、へんな知識だけありやがんな
「こりゃ驚いた。あんた、喋れんのか」
……私は達磨大師、その本人だよ。私を模した置物がここいらじゃ名物なんだけど、私がそのモチーフになった男だからね。にぃさん、あんたホントに達磨も知らねえのか?
「食べたことないね」
…私を模したって言ってんのに食欲目線で見るんじゃないよ
「抱いたこともねぇ」
…性欲目線は同じくらいありえないだろ。そもそもあんた、私のスタイル見ても興奮しないだろ
「そういや、乳がねぇもんな」
…そこ、気になる?もっとねぇもんがあるだろ?
「いや、ちんこがねぇことは一目瞭然だから性欲目線で見たんだけどな」
…なんでもありかよ。私はね、にぃさんと違って、煩悩を消そうと毎日毎日功徳を重ね、「法」という意味の名前を貰った大師なんだよ
「……ほう」
…くだらないよ。それでな、一心不乱に修行し、ひたすら拝んでるうちに手足がもげちまったんだよ
「へぇ、それで、糊の容器みてえなナリしてんのか?」
…あの黄色い可愛らしいやつか、最近見ねえな
「よく見ると糊の容器ってより、ダルマ弁当の容器みてえなナリしてんのか」
…あれが真似してんだよ。てか、確実に知ってるよな
「とにかく、あんた偉い人なんだな。生憎持ち合わせがねぇや、なんのお布施も出せねぇが、そうだ、持ってる握り飯、お供えしてやるよ」
…なんだいこりゃ
「なんだいってあんた、握り飯も知らねえのか?」
…生憎手がないから握れないもんでね
「かわいそうに、飯は握り飯が一番うめえんだぞ」
…のりたまより?
「お前も、確実に色々知ってるよな?ま、いいや。手もなくちゃ食えねぇか?」
…いや、心配には及ばん。こうやって体を寄せて……
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