86人が本棚に入れています
本棚に追加
この着信音には夢も希望も無いのであり、期待など決して持ってはならないのだ――。
どうせ
【★オススメ★ 3日で500万円稼げるアルバイト!】
なる、胡散らしい文面のメールに違いない。
ふう、やれやれだぜ。
3部主人公張りの溜め息を一つ吐いて、
やはりアドレス変更をするべきだろうかと、現在の気に入っているメールアドレスを名残惜しく思いながら、“念の為”受信したメールを確認した――。
――――
送信者:御影ひかり
題 名:無題
【本 文】
すまない、“冠”。
部活で用事が出来てしまって、今日はどうも手伝いへ行けそうにない。
――――
――とまぁ、そんな訳で、
僕は頼みの副会長にフラれてしまった。
悪い方向へ予想をしていた迷惑メールでは無かったが、
これなら迷惑メールの方が未だ良かった。
元より無かったやる気が、地の底へ沈んでしまった。
このまま沈んでブラジルまで行けてしまえそうな勢いだが、きっと途中のマグマで焼け死ぬのだろうな――。
――と、
弱音を吐いて逃げ出してしまいたいのが正直なところだが、生憎僕はそんな事が言える立場に無い。
それに、ここで逃げ出したら、御影のせいで止めたみたいになってしまう。
覚悟を決めろ、雲村冠。
お前が今此処で頑張れば、明日のお前には穏やかな学園生活が待っている。きっと、夢色の青春ラブコメが待ち受けているに違いない。
僕は己に喝を、鞭を入れ。
飴をちらつかせて、学校規則の束を睨み付けた。
最初のコメントを投稿しよう!