【第一章】 『緋咲茜による愛情の世界』

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どう見ても、 人間1人で処理しきれる量では無い。 それをたったの5日でだと!? 1ヶ月あっても無理だ、3ページ目を捲ったところで発狂出来る自信がある。 「生徒会長の仕事なんて、行事の挨拶くらいだから。」 なんて嘘じゃないか、まんまと騙されたぜ――。 業務を熟す為の能力も、時間も、意欲も無い――。 不承不承、ルビコン川を渡る覚悟で、仲間へ助力を求めたのだった。 第13代生徒会『副会長職』『御影 ひかり』[ミカゲ ヒカリ]へ――。 本来ならば僕の輔弼を、もとい生徒会の業務を行うのが当然の人物である。 だがしかし、 “彼女”に限っては例外なのだ。 運動部と生徒会役員を兼任しているのだから仕方がない。 僕にどうしても外せない用事がある時と、時遇気が向いた時に力を貸してくれれば良いからと、三顧の礼では無いが僕の方から嘆願したのだ。 故に実質、生徒会は僕1人。 こんなにも早く彼女に助けを求める事になるとは思っていなかったし、ああ言った手前言い難い感情があったが、事は焦眉の急。 下らないプライドは、全て駆逐した。それはもう、なんとか兵団の如く。 “身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ” と言うやつだ――僕、全然死ぬ気無いけど。 『16時30分に一階の生徒会室へ来て下さい。』 ――と、平身低頭。 這いつくばってお願いした――。 彼女もそれで了承してくれ、今丁度部屋の時計が16時20分を指し示した。 そんな訳で―― ――ヴーヴー――。 不意に、 机の上へ置いた俺の携帯電話が唸り、ディスプレイに【新着メール 1件】と、文字が表示された。 …。 僕のこの携帯電話にはここ数日で、 身に覚えの無い、如何わしいサイトから100件を超える迷惑メールが届いている――。 原因は恐らく、 三日前『実録!ニーハイだらけの大運動会』と云う魅力的なフレーズに惹かれ、碌に調べもせず無料会員登録をしてしまった事だ。
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