お話整理中

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*――* 初春の森の中、風は時折強く吹き、空は青く澄んでいて伸びる白い雲は風に流されていく。 もうすぐ昼時。 光り輝く太陽に全てが護られている日だというのに。 黒鳶色の長い髪が乱れているのも気にせず、輝く太陽の光を通さない薄暗い森の中を歩く青年――シモン。 足取りは危うく、まるで手探り状態で進んで行く。 手でゴツゴツとした太い木の感触を感じ、シモンはときおり木の根につまずきながら、草に足を滑らせながら、霞みがかる視界の中、確実に光の方へ歩みを進めていく。 杖を持たず、慣れない森の中に飛び出してきた――自分など、このままいなくなればいいのにと。 ――いざ本当に迷子になると、光を求めて歩いてしまう自分が情けなく自嘲的な笑みさえ浮かぶ。 風に乱れた自分の髪を乱暴に掻きあげる。視力が悪くても風の向きから、森の出口はわかる。 乱れた髪の隙間から覗くその顔は端正で、鋭い眼はしているけれど、まだ幼さと精悍さのはざまにあった。 当のシモンにとって自分の外見なんてどうでもいい。目が見えなくなってきている今は余計に。 目に映る光は白くぼんやりとしたものから、体中で感じられる確かな光に変化した。 ――太陽の下にようやく出られたのだ。
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