第2話 平成元年

平成元年

｢皆、準備と覚悟は良いか？｣

　蒼空と木菟が全員に問います。

　この瞬間に空気が変わり、全員の目から感情というものが消え失せて鋭利な刃物のように変わった。　人間から、忍という別の生き物に入れ替わります。

　蒼空と木菟が唱えます。

｢摩利支天の加護があらんことを…オン…マリシエイソワカ…｣

　続けて、全員が唱え始める。

｢オン…マリシエイソワカ…｣
｢オン…マリシエイソワカ…｣
｢オン…マリシエイソワカ…｣

　ゆっくりと低く…でも、とても力強く唱える。　殺気と闘気が上がって行き、血が沸騰しているのではないかと思う程に興奮状態となって…そして、夜の森のように静かで透明な空気のようになった。

　覚悟の完了です。

　さあ…出陣をします。