平成元年

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 合戦の場は富士の樹海です。  殺し合うのは、我々忍の者達のみ。 依頼元の彼等は、安全な部屋で結果を聞くだけだ。 将棋で相手の駒を減らして行くように、自分逹がどれだけ有利になるかという、ゲームをやっているのではないかと思ってしまう。  なんて…不公平なのだ!! 彼等にとって、忍などは人と思ってはいないのでしょう。 ただの捨て駒くらいにしか思っていないのだろう。 我々忍にだって、命があるし心もあるのだ。  しかし…覚悟を完了した彼らに、その様な感情的になる心の隙間は無い…ただ、目の前の敵を消し去る事のみに全神経を集中する。  各隊が、夜の樹海に散って行く。 本陣の無い、ただの潰し合いをする為の合戦だから…陣形と云えるような戦略的な作戦は全く無い。 忍び同士…お互いに捜し合い、そして殺し合います。 「蒼空様、俺から絶対に離れるなよ…相手は我々と同等以上の実力者達だからな…」
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