平成元年

12/29
前へ
/29ページ
次へ
 弍が、無表情なままで呟くように話しかけて来ました。 「わかってるよ弍…足手纏いにならないように努力するよ…」 「ああ…そうあって貰わないと我々は全滅してしまうからな、絶対に気を抜くなよ」 「…わかった…」  隊長に就任した直轄部隊の方が、笑いながら間に入って来た。 「ホッホッホ…ワシがおるから大丈夫だって…しかし、お前達は運が良いぞ…今回の合戦では、皆にワシの最高の術を見せてやるからの…そしてそれを伝授してやろう…」  この方は先々代の元側近で、当時一族内で最強を誇った人だ。 彼の術に関して知る者は皆無で、謎の多い人物だ。 「龍様…遠慮なく術を盗ませて頂きます」 「それで良い。 ワシももう…いい歳だからな、お前達に技や術を伝えて行かなくてはならないからの…しかと見るのだぞ…」 「ありがとうございます…」
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加