平成元年

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 龍様は、これを最後の戦にして引退をするつもりなのだろう…忍は、一般的なもの以外の術を秘伝として隠すもので…それを見せて教えるなどという事は非常に稀な事なのだ。  忍の引退には、2つの意味がある。  そのまま隠居生活をするか…または、戦で死ぬ…  しかし、思いがけず貴重な技術の習得チャンスを貰いました。 「絶対に…生きて帰ろう…」  そして次の世代に、この大切な術や技を繋いで行かなくては…弍と蒼空、そして隊内の忍達は皆…士気が揚がって来た。  とても静かな夜の樹海…しかし、敵味方併せて200名以上の忍が蠢いている。  静かに…とても静かに、人知れず忍同士の殺し合いが始まった。 「報告…陸(ろく)番隊が隊長クラスを除きほぼ全滅です…伍番隊に編入しました…相手は…4人残りました…」 「…そうか…」  伝令班から情報が入って来た。 木菟が渋い表情をします。 「…やはり、厳しいの…何人が生き残れるかのう…」  壱も渋い表情でいる。
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