平成元年

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 真っ暗闇な樹海の中…蒼空たち弍番隊と参の率いる参番隊は、互いに一定距離をおいて離れずに行動していた。  互いに、言葉ではなく手話で会話をします。 「近くにいる…マズイな、此方に気付いているぞ…」 「…どうする?」 「罠を仕掛ける時間はなかったようだな、様子を窺っている…このままやり過ごすつもりか? 此方も陣形が不利だから…その方が良いが…」 「…!! ダメだ来るぞ!!」  …ピシッ  誰かが踏んだ小枝の折れる音を皮切りに、戦闘が始まった。 相手の隊は約30人…かなり大きな戦闘となったのだが、とても静かだ。 刀の交わる音と、カサカサと動きまわる音以外は何も聞こえない。 誰1人、声を発しないのだ。  前半は、此方の方が有利だった…しかし、相手の隊長クラスが出て来ると旗色が悪くなって来た。 彼らは非常に強い、短い間に互いの死傷者は半数を超えてしまった。 「マズイな…退却するか…」 「その方が良さそうだね…」  弍と蒼空が話しているとき、龍様が楽しそうに前へ出て来た。 「ホッホ…ワシの出番かな…」
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