平成元年

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 1人が、印を結び唱え始めた。 「オン、マリシエイソワカ…」  続けて1人…また1人…この場にいる全員が唱え始めた。 「オン、マリシエイソワカ」 「オン、マリシエイソワカ」 「オン、マリシエイソワカ」  とても嬉しそうに、彼らを見る龍と炎。 「…忍びの世界で生きて来て…最後は最高の闘いになった…」 「…ああ…もう思い残すことはない…嬉しいの…」  お互いにユラリと動いたが、先に仕掛けたのは炎だった。 龍の周りから火柱が立ち上がり、龍は視界を遮られた。 そして、その火柱を突き抜けて無数のクナイが龍を目掛け襲いかかる。  しかし、龍の姿は消えていた。 「ホッホッ…名のとおり、火炎を使うのだな…火遁の応用か…しかし、いつ仕掛けをしたのか全くわからなかったぞ」 「わかったら術にならんだろ…」 「ホッ…それもそうか…」  会話の途中、炎の上でバシッという凄い音と閃光のあとにコウモリが落ちて来た。 「雷…電気か…」 「ホッホッ…ワシの雷は…痛いぞい…」
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